MT54の新形通勤電車

出典: CLUB103ウィキ

良くMT54を使った通勤電車を作れば良かったという意見を聞きますが、私には何を根拠にそんな話をしているのかがよくわからないです。

103系と113系の速度時間グラフ
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103系と113系の速度時間グラフ

目次

MT54は使えない

MT54を用いて、新形通勤電車の想定線区(山手・京浜・赤羽・城東・阪和・東海道緩行・常磐)に使えるかどうかの検討は昭和36年度中に行っており、RMS電流が1時間定格の93%に達する事が判明したために「MT54の通勤形は使えない」と判定されました。
実際問題、この検討で使えない事が判明している以上、使えないモノは使えないんです(笑)

駅間距離が長ければ

先の検討は平均駅間距離が2キロ未満という事が前提であったが、年月が経ち、新形通勤電車と言われた103系が本来の想定線区以外の駅間距離が比較的長く、ノッチオフの速度が高い路線に投入されるようになる。
そうなると、徐々にMT55の低速タイプを非難する声が出始め「MT54にしていれば良かった」という意見が出てくる。
その人達は、MT55になった歴史的考察は全くせずに、単に「今MT54の方が良いから」という単純な理由で物事を言ってるように思うが、仮にMT54で103系を作って、先に示した想定線区での走行はできたのであろうか?
103系とは別の高速タイプの105系を求めたという事であろうが、じゃぁその高速タイプの105系はどこを走って、103系を入れたときとの輸送力の差はどの程度だったのであろうか?
ちなみに、京浜東北線に103系を入れることを決めた昭和40年頃に、103系のギア比を1:5.6にしたり、MT54を使った中速域を少し改善した通勤電車のシミュレーションをしている。
結果として、大森-大井町で10秒程度短縮できることは確認できたが、当然電力消費量が上がっており、当時の切迫した電力事情を勘案すると、全区間を通しても2分程度のために、電力設備に対する設備投資をおこないながら新形式を生産するという案は、少し時間はかかるが、現状の設備を大きく増強せずとも使える103系の方が投資対効果の点で優れているという判断だったのだろう。

駅間距離3キロを超える路線

平均駅間距離3キロ程度までの路線であれば103系で十分な輸送力を確保できる。
駅間3キロと言うと、首都圏で昭和50年までにその制約からはずれるのは・・・・・武蔵野線くらい。
じゃぁ、105系とやらは武蔵野線のために作るわけですか?
東海道線と武蔵野線のために105系を作るってのがいかに無駄か。しかも105系にしたからと言って劇的に輸送力が改善されるわけでもない。
ランチタイム、Aランチ500円、Bランチ900円、BランチはAランチに食後のコーヒーが付きます。
AランチとBランチの差は400円もするのに、他の店なら100円アップくらいで飲める食後のコーヒーが付くだけ。
Bランチに対して割安感というのは誰も持たないと思います。
105系も同じで、103系よりも少し運転曲線上時間短縮できたとしても、新形式を作る事に見合うのかと言うとノーであったという事だと思います。
ただし、山陽線などに進出するようになった段階ではちょっと疑問には思いましたが、それは103系の性能云々を言うのではなくそんな線区に103系を使った用兵を責めるべきでしょう。

高速性能があっても

実際201系という105系などよりも遙かに高性能な形式ができてからも、中央線の運転時隔が短縮されたわけでもなく、ラッシュ時の速度がほんの少し改善できただけですよね。
要はラッシュ時の輸送力ってのは、ほとんど限界状態にあるわけで、その状態で駅間が長いというような理由だけでMT54という旧形の主電動機を使って定格速度を高めた形式を入れても輸送力改善は望めない。
201系のMT60ならまだしも、MT54の場合は低速域での引張力が無いため加速が悪くなる。
3キロ程度までなら、MT54の速度に乗る前に次の駅に着いてしまう。
3キロを超えても、本当に6キロとか7キロとかの駅間距離が続く線でないと、極端な性能差は出ないだろう。
そんな路線がどの程度あるかという事ですね。

グラフを見る

添付したのは113系8M7Tと103系6M4Tのグラフで、113系の方がMT比が苦しいけど、湘南線と京浜東北線を比較したと思って頂いて結構かと思います。
時速100キロに至るのに103系は118秒2353m必要ですが113系は113秒1935m必要です。
つまり、両形式がヨーイドンでスタートして約110秒後には113系は1900mほど進み、103系は2300mほど進んでいるというわけです。
この103系の持ってる400mのアドバンテージを113系が取り返すには、更に何キロも走らなければならないでしょう。
だって、両形式ともに国鉄時代の多くの線区最高速度であった100キロに達していますからこれ以上加速できません。あとは惰行に移りますので、いくら113系が高速性能が良いと言っても極端に距離を縮めれないんですよね。
要は仮想105系と113系のセッティングは少し違ってくるとは思うのですが、高速タイプの形式にすると、よっぽど駅間が無い限りは少しぐらい高速性能があったとしても103系より早く目的地に着く事はできないんですよ。
仮に駅間3000mだとして、時速100キロから3km/h/sの減速度でブレーキを掛けて停車するまで450mかかりますから、100キロに達してすぐにブレーキを掛けなければなりません。
そうなると400mのアドバンテージのまま103系が先着します。

言うのは簡単

鉄道ファンの多くが速度の速い列車を好むようで、103系のように50キロ程度までの加速は良いけど、そこからウジウジとしか上がらないような車両は「遅い車両」と決めつけているように思います。
しかし、加速が良いというのは、早い段階でダッシュしていて、距離を進んでいるという事が言える点について、ほとんどの人が無視しています。
単に時速100キロまで時間がかかるとか、そういう時速○キロがどうのとしか言いません。
実際にダイヤを作る上においては最高速度が少し高かったとしても駅間で5秒とか10秒の時間が変わるだけなんです。
更に、加速が良くて70キロで惰行して65キロでブレーキを掛ける103系と、加速が悪いが85キロまで速度を上げて、少しの惰行の後80キロでブレーキを掛ける形式、どちらが電気を食いますか?主電動機に対する負荷はどうでしょうか?
特に昭和30年代は主電動機の発熱問題がかなり深刻でした。そのようないきさつを知っていれば、ほとんど駅間での時間が変わらないのであれば103系のような運転がトータル的に考えると優位であったと、そういう事です。
速い電車にあこがれるのは良いのですが、速い電車を走らせるための設備や走らせたときの効果など、もうちょっと検討してもらいたいなぁと思う今日この頃です。