異議あり!

鉄道ピクトリアル2010年6月号の運転理論

02
比較方法が不公平じゃ?

ホーム 103系の為の運転理論 電車運転理論入門

比較方法が不公平ではないか?

 今回、このような異議を唱えているのは、プロが語る危険性というのが、時が経てば収束できないほど広まって定着してしまう事を危惧したからだ。特に今回の内容は近郊形である115系が通勤形である103系や201系よりも加速が良いと結論付けている事から、その可能性が非常に高いと言える。
 では、なぜ著者がこのような結論に達したかというと、115系が有利になるような比較をしたからで、電気車の加速と言うのは、モーターの引張力と編成重量が主な要素になるわけだが、103系や201系は応荷重装置を使ってるので荷重に応じてモーターの力が変化するのに対して、115系は応荷重装置を使っていないので、モーターは常に最大の力が出せるセッティングとなっている。その状態で乗客の乗っていない空車状態で比較したなら115系が有利になるのは誰の目から見ても明らかなのに、それで比較してるところが問題だと考える。
 応荷重装置を使ってない車種と使ってる車種を比較するならば、乗客が満員の状態、つまり応荷重装置を用いた場合積車のセッティングになる条件で比較しなければならない。
 それなのに、記事は空車状態で比較して、115系が速いと結論付けている。そりゃ、その条件であれば書かれたように115系の方が速くなってあたり前だ。では定員乗車であればどうか、200%乗車であればどうなのか?その結果は空車時とは逆転する。それなのに空車時の比較だけして「201系より115系の方が加速が良い」「103系より115系の方が遥かにポテンシャルが高い」と、形式間の評価をしてしまっている点が記述としては不公平であり、おかしいと言える。

Copyright(C) Nobuyuki Nagao,All Rights Reserved.